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撃てない鹿

 

 

棟方です。

棟方です。

 

私の狩猟歴は、波動の仕事よりも長いものです。今は主に罠猟ですが、昔は銃もよく使っていました。

 

ある時、仲間と森に入った際、至近距離に鹿が現れました。当然のように銃を構え、引き金に指をかけました。ところが、引き金が重く固く、まったく引けないのです。銃はきちんと整備してありますから、銃の不調ではありません。私がいつまでも撃たないので、不思議に思った仲間が銃を構えました。ところが、仲間の銃も同じように引き金が引けない。

 

二人で戸惑っているうちに、鹿は森の奥へと消えていきました。そして、その姿が完全に見えなくなった瞬間――ズドン、と弾が出ました。まったく不可解な出来事です。

 

実は、こういうことは時々あります。狩猟といえども、撃つ側と動物の間には、何らかの“縁”の絡みがあるのかもしれません。たまたま無縁の獲物に出会った時は、不必要な殺生ができないようになっている……そんなふうに思います。

 

あの時の鹿は、きっと生かしておくべき「魂」だったのでしょう。不思議な話です。