昔々、蒲鉾が美味しい街に、ひとりの波動師がおりました。
やる気があるのかないのかわからない、尊敬されているのかどうだかわからない波動師は、
遊びが大好きで、いつも何かしら楽しいことを探していました。
ある時、波動師は、おおきな蚊のような音をたててあちこちを飛び回るドローンというものを手に入れて、大喜びで飛ばしていました。
初めは、そろそろと慎重に飛ばしていたのですが、慣れてくるとだんだんともっと高く、もっと高く上がれと、次第にドローンの高度をあげていきました。
すると、ふっとした瞬間にコントロールが効かなくなり、なんとドローンが空に消えてしまいました。
慌てた波動師は、必死になってあたりを探したのですが、ドローンはどこにもみあたりません。
風のない平野。晴天。
ドローンはどこに行ったのでしょう。
来る日も来る日も、探したのですが、ドローンは見当たらず、すっかり疲れた波動師は、あの日、ドローンを飛ばしていた場所にがっくりと座り込み、「凧糸でも付けておけばよかった」と思ったその時です。
体にぼたぼたっと何かがおちてくるではありませんか。
よく見ると、泥の塊がどこかからか自分の体に降ってきていたのです。
しかし、ドローンが消えたあの日と同じように、障害物の無い平野。雲どころか鳥もいない、青空です。一体、どこから泥の塊がおちてきたのでしょうか。
不思議に思いつつ、波動師は、「ドローンがドロンして、泥が降る。これもまた波動と。」つぶやくのでした。
*この物語は、ほぼノンフィクションです。
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